わたしが大切にしていること

Interview .04 | ⁩鏡 雅代 先生 Pick Up
Woman Principal Investigator

Interview .04 | 希少疾患研究との出会いから20年。
自分のペースで積み重ねたキャリア

希少疾患であるインプリンティング疾患の研究を専門とする鏡雅代先生。分子内分泌研究部で室長を務め、自らの名前がついた「鏡・緒方症候群」の発見者としても知られています。育児と研究を両立しながら20年以上のキャリアを積み重ねてきた鏡先生に、研究への道のりと若手へのメッセージをお聞きしました。

鏡 雅代 国立成育医療研究センター
分子内分泌研究部 臨床内分泌研究室長

「たまたま」の出会いが、私の研究人生を決めました

北海道で小児科医として働いていましたが、結婚を機に東京へ。ちょうど大学院生の時期で、国立小児病院時代(国立成育医療研究センターの前身)の研究所で学位を取得するのための研究をしました。その後出産を経て、次のテーマをどうしようかと考えていた時に、前の部長である緒方勤先生が「インプリンティング疾患のことをやってみたら」と勧めてくださったんです。それから20年以上、この分野の研究を続けています。
 
たまたま国立成育医療研究センターに入院されていた患者さんが、新しいメカニズムで起こった病気じゃないかという症例でした。その患者さんの原因を解明できたことで研究が進み、著名な学会誌に論文を発表することができました。それがきっかけで、この疾患に「鏡・緒方症候群」という名前がつき、私の研究の道が決まりました。

子どもを気遣ってくれる温かい雰囲気が、私を支えてくれました

地元は北海道なので、周囲に頼れる存在が多くない状況でしたが、研究室の雰囲気がとても温かく、理解がある方々ばかりだったので、研究と子育てを両立することができました。子どもが熱を出して休む時も、「早く帰ってあげた方がいいよ」「お子さん優先でいいよ」という雰囲気があり、また逆に過剰に心配されることもなく、自分のペースでやらせてもらえたのがありがたかったです。
 
また、実験をサポートしてくださる助手のみなさんの存在も大きかったです。研究が佳境の時期などには、助手のみなさんに多いに手伝っていただき、また自分で時間をマネジメントしながら研究を続けられる環境を作ってくださいました。

それぞれができる範囲で、得意なことを生かせるチーム作りを意識しています

研究室の大学院生はみんな小児科医で、将来はまた臨床医に戻りつつ研究をする人たちです。皆さんとても優秀で真面目ですが、性格もキャラクターもバラバラなので、研究のゴールだけを設定して、そこまでの行き方はその人に合わせた形で進めてもらっています。
 
チーム運営では、それぞれができる範囲で得意なことを生かして仕事をしてもらい、チーム全体で成果をあげられるように仕事を割り振っています。例えば論文の再投稿の期限までに実験を終える必要があるときなど、少し無理をしなくてはいけない時には、チームメンバーみんなで助けあえるといった雰囲気を大切にしています。指示はできるだけ早く明確にして、それぞれが安心して仕事を進められるように心がけています。

優先順位を柔軟につけることが、研究と家庭の両立には大切だと思います

この職場には研究に専念できる環境があることは本当にありがたいです。臨床と研究を両立されている先生は、患者さんが最優先になるので、研究の時間を確保するのは本当に大変だと思います。私のような研究者の場合は自分で時間をある程度マネジメントできるので、その点は助かっています。
 
若い研究者には、その時その瞬間の優先順位をつけることが大切だとお伝えしたいです。家庭が優先の時もあるでしょうし、仕事が優先の時もあるでしょう。あまりガチガチに決めてもうまくいかないので「今これは多少手を抜いても大丈夫」「ここはちょっと頑張らなきゃいけない」という優先順位付けを柔軟にしていくことが、長く続けるコツなのかなと思います。

鏡 雅代 国立成育医療研究センター
分子内分泌研究部 臨床内分泌研究室長

旭川医科大学卒業。北海道大学小児科臨床研修を経て小児科専門医を取得。同大学大学院で医学博士号を取得。国立成育医療研究センター研究所にて分子内分泌分野の研究に従事し、研究員·上級研究員を歴任し、2012年より臨床内分泌研究室室長。インプリンティング異常症やエピジェネティクス研究を推進。14番染色体父親性ダイソミーの臨床像解明に寄与し、「Kagami-Ogata症候群」の国際的名称確立に貢献している。